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「湯気かおる」

大崎タイムス連載2015.12.26掲載より

「湯気かおる」VOL.43

もち米の蒸す香り
これがたまらない
それを知って
母は蒸し具合を
子供の私に聞いた
味見ができるよう

ふうふう いいながら
指でつまんでみる
そしてパクリ!
「どうだった」
「まだわからない」
そう言って おかわり
「今度は?」
「まだ…」
それが数回して
私の答えを待たず
強制的に蒸し上がり

お正月用の餅つき
年末の恒例行事だった
とはいっても
お店が忙しかった
わが家では
杵臼ではなく餅つき機
蒸したもち米を入れて
始動させると
10分もすれば
出来上がった

まずはお供え
神棚に 玄関
台所に お部屋に
鏡餅作りは
子供たちの仕事だ
大きい台座用と
小さい上乗せ用
くるくる丸めた
そのあとは
出来立ての餅で
納豆と きな粉餅

晦日の餅つき
29日は苦が付くから
そんな習わしに従った

震災後
餅つきしなくなったな
買い餅で済ませたもの 

こんな些細な
わが家の行事でも
引き継がないと
なかったものになる
これだけ思い出
詰まっていたのに

倉庫に眠った機械
今年は出してみます

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「あしあと」

大崎タイムス連載2015.12.19掲載より

「あしあと」VOL.42

あしあとひとつ
今朝の陽に
穢れた胸の
昨夜の闇に

あしあとひとつ
音もなく
あしあとひとつ
白を置く

重なる影の
織りなす森で
私を突き刺す
あの眼光の
えも言われぬ
碧き目玉よ
終わらね夜に
身を縮め
泣く風の啜りに
心を塞ぐ

柔らかな朝
淡々の
雲海は白く
綿を被った南天に
注がれる
幾つものガラスの矢
その清らかさに
寝ぼけたままに
窓を押す

肩を竦めた私を
鷲掴みにしたままの
西風が
初めての雪の庭先へ
無造作に放り投げた

あしあとひとつ
ここに来て
あしあとひとつ
どこへ行く

これはおまえの…

いつもこの陽だまりで
憶いに更けていた
あの老猫の…

おまえはそんなにも
知っていた
私が泣いたのも
間違っていたことも

あの黒の夜を追い越し
この白の朝を敷いて
くれていたとは

あしあとふたつ
音もなく
あしあとふたつ
庭に置く
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「だれかの風であれ」

大崎タイムス連載・2015.12/12掲載より

「だれかの風であれ」VOL.41

戦を終わらせるための
戦いがある
そんなこと
想像出来ますか
そのような現実を
あなたの国で
実感することなど
ないでしょうが

支配というものが
どのようなものか
自由の中で
想像出来ますか
そのような現実を
私はあの国の苦しみを
この目で識ったのです

私が育ったのは
田舎まち
見渡すほどの穂波
穏やかな彩りの中で
営みの正しさを
教わった
思えばその精神に
支えられて
いたのかもしれません
寛容と頑なを
貫いてきた
先人の浄い汗があった

どうか考えて
ほしいのです
わたしは何を
なすべきかと
生きる希望の
その役に立つと
わたしはそのように
生きたのです

どうか考えて
ほしいのです
わたしは何を
なすべきかと
あなたが
いま踏みしめている
その大地で
自らの使命に
生きてほしいのです

意志ある風になれ
すがたなき風であれ
だれかの風であれ
すがたなき風であれ
千葉晴信氏を思い)

作詞/佐藤三昭
作曲・歌/さとう宗幸
『だれかの風であれ』
2015.10.21発売
キングレコードより
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「光線の路」

大崎タイムス連載2105.12.5掲載より

「光線の路」VOL.40

時を失った光は
宙を照らし
降り注ぐ光は
蒲公英を照らす
生まれくる光は
大地から芽を出し
私の心で屈折した光は
未来と過去に放たれる

どうして夕焼け空は
赤いのか?
無邪気に訊くあなたに
レイリー卿の話でも
しようか

どうして昼間の空は
青いのか?
あなたが守ろうとした
水晶にスペクトルを
見せてもらおうか

天と地の間に
白の空と
黒の稜線の間に
未来と過去の間に
浮かぶ雲がある
そこから吊るされた
チンダルのカーテン
散らばった光を
天に吸い上げている

かりそめに預かった
時の中で
かりそめにしておけぬ
その光の破片
なおざりやおざなりに
できる命の光など
どこにもなきことを
あなたがチンダルを
昇るのを見て
この土に光が
植えられたのを
知った

ただひたすらに
その輝きを信じ守り
受け継ごうとする心

自らに注がれ
譲り渡すもの

量り知れない季節の中
虹の光線は
確かに私たちに
道標を掲げている

ありのままに
受け取った彩光を
その山稜鏡に
翳せばいいと

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