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「いろの移ろい」

大崎タイムス連載詩・2016.7.30掲載より

「いろの移ろい」VOL.74

山は白く
ときに青く
または赤く
そして黒く
その表情を変える
時の移ろいに

水は透明に
ときに土色に
または空色に
そしてケチャップ色に
その心が変わった
時の移ろいで

私は鳥を
ときにミミズを
またはリスを
そして人間を
経てきた
そう思えてならない
時の移ろい

朝の葉は
淡緑にして
露を抱き
昼の葉は
鮮やかにして
緑は冴え
夕の葉は
濃緑にして
陽を背に抱き
夜の葉は
影にして
空を浮かぶ

鳩の声は
朝がいい
雲雀の声は
昼がいい
すずめの声は
夕がいい
夜には鳥の
鳴かぬもの

空を白く
川を青く
山を赤く
鳥を黒く
心の色で
塗ってみる

わたしの空が
移ろいを受け止める
鳥の声がする
昼に鳴かない
鳥の声




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「魚と私の」

大崎タイムス連載誌・2016.7.23掲載より

「魚と私の」VOL.73

見透かしている
これは罠だ
そうにちがいない
ひっかかるはずなど
ないに決まっている
でもこれは大丈夫!
食らいついた

瞬間で空中を舞った
土手では少年たちが
飛び回って喜んでいる
焼けるほどの熱い土手
打ち上げられたのだ
釣られてしまった

よく友と連れ立って
近くの川に行った
尺鯉を誰が釣るのか
それが問題だった
私が引き上げた
それは竿先のしなりと
引きの強さで
友もすぐにわかった
そいつが掛かったと
それは大騒ぎだ
釣り上げた鯉に
群がった

体をくねらせて
バタバタ地面を叩いた
この土手を転がれば
川に潜り込める
幸いに口の針が外れる
斜面を転がり落ちた

私はあの日の少年か
それとも鯉なのか
それさえも
わからなくなり
息苦しさと地面の熱を
この肌に残して
友の喜ぶ顔と歓喜を
この耳に残して

私は目を覚ました

確かに覚えている
あの日の
両方の記憶

それのどちらが
事実なのか
それがわからない
魚釣りの夢
いまの私は
人間だ




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「小田郡考」

大崎タイムス連載誌・2016.7.16掲載より

「小田郡考」VOL.72

東方見聞録
マルコ・ポーロ
東方の島国
金山を有する島

すめろぎの花が出た!
奈良東大寺
その大仏を黄金に
日本で初めて
金が発見された
宇宙からの賜物だ

ビックバン
超新星爆発
地球誕生
悠久の時を経て
川に砂金が流れ出す
1200年前に
金が出たぞ!

天皇の
御代栄えむと
東なる
みちのく山に
金花咲く
      大伴家持

其の地は
宮城の小田郡涌谷
いまは遠田郡という

私は同郡の隣町
小牛田に住まう

一説では
小さい小田から
こおだ……こごた
になったと聞いた

時代は移り平安
金の採掘は
東に北に伸び

奥州藤原氏
中尊寺金色堂
黄金の一帯を
みちのくに築く

宇宙の変遷を
閉じ込めた金

マルコ・ポーロよ
あなたの記した風景を
私はその時の重さを
この場所に立ち尽くし
感じています




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「白鳥になった花」

大崎タイムス連載詩・2016.7.9掲載より

「白鳥になった花」VOL.71

蓮の花.jpg

渡り鳥が
北に発った
あれから幾日が過ぎ

白鳥の水掻き
雁の落とした糞
霜解けの沼で
彼らは彼らなりの
恩返しをした
この沼で

そして北に発った
しばらく前のこと

渡りをしなければ
ならないから

それはどうしてか
季節を動かす仕事を
あの方から
託されているからだ

秋の足音と
春の日差しを
正しく伝えるために
だれに?
この沼に この蓮に
夏と 冬に

この渡りの声を
信じているから
泥の中で根を張る
水面に葉を浮かべ
水上で花を咲かせる

そのような生きかたを
美しいと思わなければ
なりません
気づかなければ
なりません

言葉を使える人間が
言葉を使わない
あなたたちの気持ちを
慮ることはできない

人は言葉に頼るから
その言葉を聞くことが
できないのだと
この沼の花が
教えてくれています

同じ地球上の生物
言葉の先の感情や意思
その尊さを見つけたい

白鳥になった蓮を観る





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「つばめと軒先」

大崎タイムス連載・2016.7.2掲載より

「つばめと軒先」VOL.70

どこからやってきた
今朝のさえずりに
今年もこの地を選び
飛んできたことを知る
長旅の果てに
この軒先を
迷わずに目指して

そこまでの思い入れは
どのようなもの

お前のおかげで
この屋は守られた
隣のおばあちゃんが
そう言っている

去年生まれた子は
どうしている?
一緒に渡ったのか?
もしやお前があの子か
あれから一年
経ったのですね

巣から落ちた雛を
育てられなかった
子供の頃の挫折
いま君に詫びよう

翻した翼の美しさ
風を切る
雲を作り
空に時間を与える

その軌道の鋭さ
迷いのない潔さに
見惚れてしまいます

昨日高く飛んだから
今日は晴れたのですね
いま低く飛ぶのは
明日が雨だからですね

昔から農家では
幸を招く鳥と言った
穀物を食べずに
害虫を食べるからと
隣のおばあちゃんが
そう言っている

あなたには
あなたの意味があって
ここに来ているのにね

あなたを待つ家の軒先
人の暮らしとの共生が
長く続きますように




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