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「風の記憶」

新聞連載詩・大崎タイムス掲載(2017.2.25)より

「風の記憶」VOL.104

細かなところまで
明瞭なもの
まったくもって
身に覚えがないもの

記憶には
そのような2つの
顔がある

時に疎いのも
記憶である

忘れてしまったのか
経験しなかったことか
そんな未知の記憶も
持っているように
思えてならない
もしもそうならば
私たちはここにある
時間の物差しを
変える必要に迫られる

命は受け継がれた
だからこそ
いま生かされている

わけもなく
夜空が悲しくなり
胸に冷たい風が吹いて
身を縮めて泣いた

朝日に光る
雪原を目の前に
心が浮き立って
外に駈け出した

私が生きてきた
時の中で
刻まれた思いが
そのように
心を揺らすのか
その経験の中ではない
分裂を繰り返す
私のちいさな核から
呼び覚まされた
何かが
そう思わせるのか
わからない

もしもそうなら
私がいま見ている
心模様の何枚かは
私ではないものへ
残しているのだ

もっと希望を
見なければならない
私を生きなければ
記憶に未来を託す
風の記憶のように




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「かなもじ」

「かなもじ」

きょうは なにも はなして くれないんだね
わたしの せいですか あなたのうえに くもりぞら
あれ ちがう しだれた えだで さくらのことば
やわらかな かなのもじを かいて いたんだね
そのさきに おとずれる いろどりの えを
そらにひろがる あなたのおもい わたしも よもう

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「ふきのとう」

ふきのとう

そのときを知って このときを告げに
まだに寒風の中の 光の強くなりゆく
いまをいまと悟り 凍てつく季節の末
語らぬ思いを秘め ふきのとうの花が
ここに春を焦がれ 咲く私のあしもと

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「秘密の背中」

新聞連載詩・2017.2.18大崎タイムス掲載より

「秘密の背中」VOL.103

だれにでも
秘密はある
思い当たらない
そんな人はいない

海にだって
埋め尽くされた
それぞれの水の
旅の途中に生まれた
口に出さない
哀しみはある

山にも
秘された思いがある
悟らなければならない
その肌に纏った雪の白
その見せているものが
山の積もった思いでは
決してないのだ
語ってはならない
明かされないことが
すべて間違いではない

野心ではない秘密
まるで願いのような
壊さないための
優しさがある

それを探ってどうする
調べてどうする
悟るべきものを

重い荷物を横に置き
道端に座って
次の一歩を待つ
老人の背中を見よ
その買い物袋の中に
透けて蜜柑が見える
そして
菓子パン
ひとつだけ

もうわかるだろう
玄関を入った先の
炬燵に誰がいるのか

だれもいないのだ
きっとだれも

それが事実かどうか
そのことを
調べることではない
探ることでもない

悟るものなのだ

それが
何かを秘した
一人の老人の
背中を見るということ






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「あの日の朝会」

新聞連載詩・大崎タイムス(2017.2.11)掲載より

「あの日の朝会」VOL.102

冷え切った体育館で
全校集会がある
月曜の朝の会だ
小学4年の冬の

校長先生が云った
「おはようございます」
その後は寒くて
よく覚えていない
貧血気味で
少し気持ち悪くて
早く終わらないかと
足をパタパタしながら
右上の壁の時計に
何度も目をやっていた
8時20分

担任の先生が
小声で云った
「ぶらぶらしない。
 話を聞きなさい」

「はい」
とだけ答えた
体調も告げずに

保健室の布団の上
気付いた時には
そこに寝ていた
きっと倒れたのだろう
左の壁の時計は
9時10分

その間に見たものは
すべて夢らしい

校長先生には
角が生えていたし
顔も大きくて赤い
髪の毛はワカメで
牙も二本
「うおー、おうー」

担任の先生が
私の肩を掴んで
「ガー、ぐー」
って云ったけど
振り返らなかった

隣の友達は
動かなかったが
ただならぬ息遣い
ケダモノのような

なまはげ校長が
爪の伸びた指を
私に向けた
そのとき目が覚めた
あの日の朝会を
未だに忘れられない






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「つもりゆく」


10-2.jpg

10-1.jpg


その重さ

地球の重さ

誰もが背負う

いのちの重さ

優しさを問う

球体へのいざない

あなたはしずかに

示してくれた

わたゆき

わたゆき

つもりゆく
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「2月の朝に」

8-1.jpg

黙りこんだ池に
   光の速さで
   届けられた
 昨日の
    ムクドリの声
         ふたつ

    ひとつは氷面に
     そして季節に

その過ぎた後の静寂に
    昨日の終わりがある
     わたしの今朝がある

振り返ると
朱の珠が朝陽を浴びている

ムクドリよ 啄め
   彼の土地に 連れて行け

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「にがつなのか」



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このあしもとをみる
あたまのうえをみる

         ひかるかぜがすぎる
         かんしゃがあふれる

                  つたえることがある
                  わたすことばがある

     にがつなのかのひる

7②.jpg

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「孤独のわけ」

新聞連載詩・大崎タイムス2017.2.4掲載より

「孤独のわけ」VOL.101

虫にもある

生まれたときに
すでに始まっている
孤独という
自身との闘いが

孤独は欲求と
仲がいい
時には破壊と
手を組む
その寂しさゆえに

風にも
孤独はある
その場所に
留まることを
許されないから

発せられた瞬間に
散り散りになる
音にも孤独がある
もっと先を目指しても
そのあたりで
消滅してしまうから

孤独を孤独だと
言えない孤独がある
存在を忘れられる
孤独がある

いつか消えてしまう
全てのものたちに
避けられないもの

一人で死んでいった
命がある

風がある
むしがいる
音があった

それでも
自らが守ろうとした
かけがえのないものは
迎合しては築けない
そのようなものもある

誰かがそれに
目を向ける
その日まで
磨き続けなければ
ならないものがある

孤独に堪えることの
その意味を
分かち合える
同じ心を持った
あなたの孤独を
私は誇りに思う





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